農業機械費ダウン
農業機械費は、コスト分析する中で固定費に区分され、すでに発生したコスト(農業機械の購入費)、かかるコストは仕方がない位置づけとして、コストダウンをあきらめているケースが多い。
しかしながら、農業従事者が減少する中で生産性向上を図っていくうえで、農業機械費の割合は今後も増加していくことが想定され、労務費に次いで重要なコストである。農業機械費のコストの見方を知り、コストダウンの方法を知って取り組むことで大きな成果を創出することできる。
農業機械関連コストの構造を知る
農業機械費は、購入時にかかった費用を減価償却費で各年度に配分するので、コストダウンできない固定費で、購入時で勝負が決まる、とあきらめている農業生産者が多い。
しかし、農業機械関連コストの見方を変えることで、農業機械費をコストダウンするためのポイントが見えてくる。
農業機械費は、関連コストも含め広義の定義でみると、本体の購入費、維持・メンテナンス費、保管費、燃料費、オペレーション費(作業運転費)、などが考えられる。この費用の考え方を変えることで、コストダウンの見方も大きく変わってくる。
例えば、農業機械(1,000万円で購入し5年償却で200万円/年の減価償却費)について、稼動できる期間を2ヶ月、1日8時間稼動と想定すると、設備使用料金は4,167円/時間となる。ある作物では実際に200時間使用したので、83万円が農業機械費の使用料金となる。
この使用料金の削減を図るためには、
①効率的な作業で使用時間を削減すること、
②時間あたりの農業機械費の低減、
③(次回購入時に)購入費の低減、が必要になる。
①は作業改善で推進、②については作付面積の増加や作業受託などにより、購入した農業機械の操業度を増加させること、また農業機械のメンテナンスを充実化すること、により償却期間を長期化させること、などでコストダウンを図ることができる。
例えば、償却期間を6年、年間稼動日数を90日、A作物の農業機械使用時間を180時間、に改善できたとすると、A作物の改善後の農業機械使用料金は、
農業機械費は、購入して終わりではなく、購入した農業機械をいかに有効活用し、大事に維持・使用して長期化を図り、時間あたりの農業機械使用料金を低減するか、がポイントとなる。農業機械を活用して労働集約的な作業の生産性を向上し、コストダウンを図ることが、今後の農業の最重要課題である。