経費ダウン

農業における経費は、直接的に作物に負荷されないコストで、いろんな費目で構成されているので、改善対象になることが少ない。

しかし、作物・商品へ直接的に価値を付加するコストでないため、いかに効率化するか?がポイントである。

ここでは経費のコストダウンの考え方と方法を解説する。

ムリ・ムダ・ムラを把握

経費を削減するための基本は、ムリ・ムダ・ムラを改善することである。

ムリとは、能力を超えた仕事(量・質)があること

ムダとは、能力に対して仕事が不足していること、

ムラとは、ムリとムラが混在してあらわれること

と、言われる。

ムリとは、能力に対して仕事量が多すぎるだけでなく、税務関連書類や各種申請書類など専門知識が必要な業務において時間とコストを喪失することも、ムリと考えられる。ムリが続く状態は、ミスを誘発し非効率となるケースが多い。業務であれば、ちょっとしたミスで大きな損害につながることもある。

ムダとは、保有している能力(機能)に対して、仕事(量・質)が見合っていないことである。事務業務でいえば、仕事がなく手待ちが多いことが代表的な事例である。また100t保管できる冷蔵庫に30tしか使用しない、トラック1台をチャーターしたが積載効率20%、などが考えられる。

ムラとは、繁忙と閑散が混在している状態で、事務作業が月末・月初は仕事量が多く残業続きだが、月中は暇な時期が続く、でも事務員は2名必要である、というケースである。

原単位コストで総チェック

経費のコストダウンを推進するには、費目別の支払いコストを定量的に一覧化し、ムリ・ムダ・ムラの問題がないか?を原単位コストで総チェックすることを推奨する。一覧化することで、余分なコストに気づけることもある。

原単位コストとは、一定量の目的を達成するためのコストのことであり、例えば、100箱の作物を出荷するために、自社便で3万円でトラックを走らせた場合、300円/箱となる。運賃でいえば、通常300円/箱のところ、特急対応で宅配便を利用し、800円/箱になる場合などがある。

特急対応になった原因を分析し改善することで物流費を削減できる。

基本契約を見直しコストダウン

経費の中では、固定費的にかかる費目も多く、かかるものはしょうがない、と考えているケースも多い。

例えば、電気料金については使用量を削減することは当然のことだが、基本料金の見直しで大きくコストダウンできるケースがある。年間の使用量のピークを考慮し余裕をもった基本契約をしているケースや過去の非効率な製造設備や空調設備を使用していた時の基本契約を継続し、基本料金が高いケースがよく見られる。

リスクに対する保険料などについても、基本契約など見直しすることで、コストダウンできるケースがあるので、基本契約締結の経緯などを調査することも重要である。

外部を活用してコストダウン

自社で全ての機能・能力を保有して対応することを考えると、繁忙・閑散のムラや、自社にはない知識を習得しないと対応できないケースが多い。

事務業務などは、月末月初の繁忙業務を分散処理できるように改善することは当然実施するが、専門的な業務や、定型的で量が偏って発生する業務については、外部のアウトソースを活用することが有益である。

ピーク時にあわせて能力を保有するのではなく、保有した能力はムダなく活用できるようにして、不足する時期は外部能力を活用することがポイントとなる。例えば、事務業務や冷蔵庫や倉庫、運送業務、などが考えられ、自社保有する場合のコストと、外部活用との組合せを検討し場合のコストを評価することを推奨する。外部は活用するときの自由度が低いと活用しにくいので、複数の外部連携先を探索しておくことが望ましい

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